当主の随想ー3ー [吉村家住宅あれこれ]
母屋との間の前庭には砂を敷き詰め、大戸口への斜めの石畳
以外は空白であるが、かっては作業場、集会所として格好の場
であったろう。斜めの石畳は前庭のよきアクセントであり、母屋
への距離感を強調し、また母屋を眺める上で絶好の視座を提供する。
その起点に立てば、母屋は少し斜めに全容を見せる。七三の比は
人の顔ばかりでなく、建物に対する角度でもすばらしく、
ここから見る母屋はまさに見事な均衡を保っている。ずっしりと
量感はありながら少しも威圧的でない。近代的ともいえる建築美
を示す。大和棟の切妻部分が小気味よく、茅葺、瓦葺の対比する
屋根、それを支える軒下との構成もすっきりしている。
また、大戸口から左右にひろがる壁面は、直線構成が、モンドリアン
の作品を思わせる近代性を見せている。
私自身、わが家はいいなと思って眺めるのはこの時である。
このような簡潔な構成を400年近く前に作り上げた棟梁たちの
眼と腕の確かさに敬服する。
(続く)
2022-12-18 17:59
当主の随想ー3ー [吉村家住宅あれこれ]
母屋との間の前庭には砂を敷き詰め、大戸口への斜めの石畳
以外は空白であるが、かっては作業場、集会所として格好の場
であったろう。斜めの石畳は前庭のよきアクセントであり、母屋
への距離感を強調し、また母屋を眺める上で絶好の視座を提供する。
その起点に立てば、母屋は少し斜めに全容を見せる。七三の比は
人の顔ばかりでなく、建物に対する角度でもすばらしく、
ここから見る母屋はまさに見事な均衡を保っている。ずっしりと
量感はありながら少しも威圧的でない。近代的ともいえる建築美
を示す。大和棟の切妻部分が小気味よく、茅葺、瓦葺の対比する
屋根、それを支える軒下との構成もすっきりしている。
また、大戸口から左右にひろがる壁面は、直線構成が、モンドリアン
の作品を思わせる近代性を見せている。
私自身、わが家はいいなと思って眺めるのはこの時である。
このような簡潔な構成を400年近く前に作り上げた棟梁たちの
眼と腕の確かさに敬服する。
(続く)
2022-12-18 17:59